江ノ島食料事情

江ノ島に行った時のこと。時刻は午前11時頃、朝飯を食べてなかったんで、ちょこっと何
か腹にいれようかと思い、江ノ島水族館のお向かいのコンビニへ。サンドイッチと缶コー
ヒーを買って、水族館裏手の砂浜へ向かった。冬だというのに天気がよかったんで、ビー
チは大にぎわいだ。弁当やらお菓子やら食べながら、海を眺めて黄昏れたり、おしゃべり
をしたりと、皆それぞれ湘南の冬の海を満喫している様子。
しかし、そんな平和な光景も永くは続かなかった。突然空間をつんざく

「キャーッッッ!!!」

とゆー恐怖の悲鳴。何ごとかと声の出所に目をやると、若い女性の二人連れ。呆然と見上
げる彼女たちの目線の先には、獲物を掴み、悠然と飛び去る一羽の大きなトンビが。どう
やらこのトンビ君、彼女たちの間に置かれた食料を、空から舞い降りて一瞬のうちに持ち
去ったようなのだ。そしてふと殺気を感じて、上を見上げると、大空の上から、虎視眈々
とトンビの仲間たちが、我々の食料を狙っているではないか。
それからまた5分もすると、また少し離れたところでまた

「キャーッッ」

今度は家族連れのお母さんと思しき人物。大胆不敵にもこのトンビちゃん、お母さんの手
に持った食料を、背後から急降下して素早くGET! 片瀬のオープンカフェはスリルとサス
ペンスに満ちあふれた、トンビたちの大切なハンティングの場でもあったのだ。そして、
何も知らない観光客たちが次々と訪れては、腹を空かせたトンビたちに食料を強奪されて
いく。ん?、これならトンビたち、食べ物に困ることもないだろう。
それにしてもいつの頃からトンビたちはこんな効率のよい狩猟方法を身につけたんだろう
か。百発百中、空から小さな獲物を捕らえる技術力はとてもすばらしい。しかも、人間に
は一切危害を加えず、人と人の間を巧みにすり抜け、悠々と獲物を獲得するフェアプレー
精神にも拍手を贈りたい。

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昆布だし

うちの風呂はガス釜の沸かし湯だった。一回沸かして風呂入って、捨ててしまうのはのは
もったいないから、次の日もまた、同じ水でまた沸かす。三日目になると、さすがに結構
アカが混じってきて、お湯も濁りだすんで、だいたい三日同じ湯を使って、四日目には、
水を入れ替える。ってのが基本的なパターンだのだが、ある時カミさんが、風呂のアカす
くい網なるものを買ってきた。これが中々の優れモンで、よく取れる。三日目に、お湯に
混じったアカを綺麗にすくい取ると、

「あ、こりゃまだ入れるじゃないの。」

てなわけで、四日目もまた同じお湯に入る。そして五日目になると、またお湯の中のアカ
が目立ってきたんで、またアカ取り網ですくう。そーすると、さすがに五日も使ったお湯
だから、いい具合に白濁してくるのだ。

「こりゃ白骨温泉みたいだわ、おー気持イー。」

とか言いながら、どこまでこのお湯が進化するのか、確かめたくなってくる。そして迎え
た七日目。風呂を沸かし終え、その出来ばえを確かめるべく、風呂のふたをさっと開ける。

「お?ーっっっ。」

白く立ち上る湯気から、プンと香る昆布だしの香り。なんと、昆布香る白湯スープが完成
しているではないか!考えてみれば、足掛け一週間かけてじっくり煮出した丸人間スープ
である。さぞイイだしが出ていることだろう。どうして昆布だしの香りなのかは、全くの
ナゾだ。しかし残念ながら、ついにその味を確かめてみる気にはならなかった。

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驚異の五目ラーメン

昔、河口湖にドライブに行った時のこと。
昼時になって、当然のことながら空腹に。気の利いた店も見つからず、しょうがないんで、
観光ドライブイン風レストランに入場。観光地だし、どうせ割り増し料金で、ほぼ何の工
夫もない料理しかないだろうし、しょうがないからそばかラーメンでもと、思い席に着い
た。しかし、メニューを見ると、五目ラーメンがずいぶん安い!正確な値段は、もう忘れ
てしまいましたが、五目ラーメンなのに、普通のラーメンと同じくらいの値段だったこと
は覚えている。
まあ、味の期待は出来ないけど、この値段だったら、これをたのむしかない。迷わず注文
した五目ラーメン。待たされることもなく、ほどなく店のおばちゃんが、ラーメンどんぶ
りを持ってやってきた。

「おまちどうさま。」

おばちゃんがテーブルに置いたラーメンどんぶりの中身を見て、私はすぐに、

「あれ?五目ラーメンたのんだんですけど。」

どんぶりの中身はどう見ても、普通の醤油ラーメン。

「はい、こちら五目ラーメンになります。」

にっこりと微笑んで、おばちゃんはそう答た。きつねにつままれたような気持ちで、どん
ぶりの中をもう1度よく見ると、醤油のスープに入った麺、メンマ、チャーシュー、ナル
ト、ほうれん草。いーち、にーい、さーん、と何度数えても四目しかないではないか。
その時連れが、
「あっ」

と声を上げた。

「これじゃない?」

連れが指をさしたのはきざみ葱。なんと、薬味まで一目に入れていたのか、、、
まさに驚異の五目ラーメンだった。
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